提言

2019-12-03
子どもが犠牲となるような事故を無くすために

 今年は子どもが犠牲となる事故、高齢運転者による事故が相次いで発生してしまいました。
 4月19日には東京の池袋で、高齢者(87歳)による運転の車が暴走し、母子2名が亡くなられました。5月8日には滋賀県大津市で、右折車にぶつけられた直進車が信号待ちをしていた園児の列に突っ込んでしまい、園児2名が死亡しました。兵庫県でも6月13日、西宮市にて園児の列に69歳の女性ドライバーの車が突っ込む事故が発生し、園児2名が負傷しております。このような事故は二度と発生させない、そのために政治としてできることに取り組まなければなりません。
 
 まずやるべき第一は、子どもの安全確保です。
 これまで小学校の通学路における危険箇所の点検とそれを踏まえた対策を行ってきました。それに加え、幼稚園や保育園のお子さんが例えば公園に遊びに行く、そのためにいつも使っている道路の安全性も新たに点検いたしました。その結果を踏まえ、歩道や防護柵の設置、交差点の改良など、これから来年度予算編成も始まりますが、予算をかけてしっかりと対策を行っていかなければなりません。
 例えば二階俊博会長のもと、道路標識等議員懇談会にて幹事を務めておりますが、消えかかった白線や「止まれ」の路面標示、古くなった道路標識が全国でそのままになってしまっており、これらを直すのも必要な施策です。通学路の安全確保は最重要課題の一つであり、社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金を優先的に配分し、速やかに実施されるべきです。何か発生してから予算を費やすことから、限りある予算、未然に防ぐために使っていくように変えていかなければなりません。
 加えて、保育園などの周辺で車の通行を規制するキッズゾーンの創設や、移動式の速度違反取り締まり装置を活用し、子どもの通行が多い生活道路で必要以上の速度を出させないようにするなどの対策も必要です。昔、「かもしれない運動」が兵庫でも県警中心に行われておりましたが、停車している車と車の間から飛び出してくるかもしれない等といった様々な可能性を考えながら、対処できるスピードで運転することが大切です。そのための啓発活動も免許更新等あらゆる機会を捉えて、改めてしっかりとしていかなければなりません。ソフト、ハード両面から、二度とあのような事故が起きないように対策に力を尽くして参ります。
 
 第二には、高齢者の運転についてです。
 多くの人は60歳頃から記憶力に加え判断力や適応力が徐々に衰え、運転能力も低下していくと言われており、現在、75歳以上の方は免許更新の前に高齢者講習に加え、認知機能検査も行われております。運転免許証の自主返納も、平成21年には51,086件でしたが、昨年は421,190件と大幅に増えております。運転に不安を覚える高齢者の方に、更に自主返納を促していく必要があります。
 例えば、車の運転には自信がないが、近所のスーパーに行くためにスクーターだけは運転したい、農作業をするためにトラクターだけは運転したい、そういった方には一部返納ということも可能ですが、あまり知られておりません。広報啓発活動を更に充実させなければなりません。
 また、現在、自主返納した場合にほとんどの方は運転免許証に代わる身分証明書として「運転経歴証明書」の交付を受けますが、そのための手数料に1,100円がかかります。一部返納の場合は、2,050円の手数料がかかります。自主返納を促しておきながら、自主返納等して頂いた方にご負担をお願いするというのはおかしな話です。公共交通機関の優待券などの特典・サービスとともに、前橋市や唐津市、兵庫県でも播磨町など一部自治体では、自主返納した際の手数料の全額助成を行っておりますが、国として自主返納を推進していくのなら全国的に費用がかからず自主返納等を行えるようにしていくことも検討すべきではないかと思います。
 
 そうは言っても、東京や大阪、神戸などでしたら公共交通網が発達しているので、車が無くても生活できるという方もある程度いらっしゃるかと思いますが、地方では現実問題として車が無ければ生きていけない、そういう環境もございます。
 やはり私は、中長期的な対策も含め、交通事故が起きないような環境に変えていくことが必要だと思います。
 例えば、昭和45年には16,765人もの方が交通事故で亡くなられましたが、平成30年には3,532人まで減少しました。もちろんまだ三千人以上の方が交通事故で亡くなられていることを忘れてはなりませんが、これまでの飲酒運転の重罰化や道路整備による渋滞緩和、ガードレール設置、交差点改良など様々な対策により、交通事故を減らせる、犠牲者を少なくすることができる、そのことを再確認すべきです。そして事故を、犠牲者をゼロにする。それを最終目標に掲げ、更に対策を行わなければなりません。
 
 1つ目として、地方の道路網の整備です。
 兵庫県でも山陰近畿自動車道や北近畿豊岡自動車道などミッシングリンクがありますが、地方の高速道路網の整備はまだまだ遅れております。トラックなど輸送等を行う車両が幹線道路を通って高速道路に乗った後は、途中で降りずに目的地近くまで到着できるようにすることも必要です。また、幹線道路で渋滞が多発するため、抜け道として狭い生活道路が使われてしまい、「危険な通学路」となってしまっているケースも散見されます。歩行中・自転車乗用中の死者数の約半数は、自宅から500m以内の身近な道路で発生しているという平成30年の調査結果もあります。
 高速道路と幹線道路、生活道路をはっきりと分け、生活道路には車両が極力入ってこないようにする。そのためにもミッシングリンクの解消や幹線道路の渋滞緩和、生活道路内の速度・進入抑制や幹線道路への交通転換を促す交差点改良など生活道路と幹線道路の一体的な交通安全対策等、更に進めていかなければなりません。
 
 2つ目は、地域公共交通機関の確保です。
 高齢になっても運転する、その中には地域の公共交通機関が廃止されたりして無く、生活するためには車を運転せざるを得ないという方も多くいらっしゃいます。既に廃止された路線を復活させることはなかなか難しいですが、少なくとも今ある路線を極力維持することは過疎対策の面からも重要です。
 私も役員を務める自民党競争政策調査会でもこれまで議論してきましたが、複数事業者による街の中心部のバス路線の運賃をプール制にし、その収益を使って低需要地区路線の維持を図る等、地域に合わせた様々な方策を行うべきです。そのための独占禁止法の改正をはじめ、予算、税制、規制緩和など出来うる手を全て使って地方の公共交通網の維持を図らなくてはなりません。
 
 そして3つ目は、サポカー(安全運転サポート車)や自動運転車の普及・開発を推進することです。
 交通事故は、約96%が運転手のミスに起因していると言われております。サポカーが普及することで高齢者等のペダル踏み間違いによる事故や追突事故等が減少し、完全自動運転(レベル5)の車が完成し普及すれば、ドライバーの速度違反やわき見運転、運転操作の誤り等がなくなり、交通事故が大幅に減少することが期待されております。また、前述の地域公共交通機関についても、人件費等の問題から維持や新設が難しかった路線が、自動運転(レベル4)の実用化により可能となるかもしれません。
 私も「自動運転車・サポカー推進議員連盟」(会長:世耕弘成参議院幹事長・前経済産業大臣)を自民党に立ち上げ、事務局長としてサポカーや自動運転車の普及・開発促進・実用化等に取り組んでいるところです。
 サポカーについては、令和2年までに自動ブレーキの新車乗用車搭載率を9割以上とする目標を掲げており、平成29年には77.8%となっております。安全運転支援機能の新車搭載義務付け含め、これを更に進めていくとともに、既に現在、市中を走っている多くの車への対策として、自動車メーカーに対しまして後付けの安全運転支援装置の開発を要請しております。一部メーカーからは一部車種で既に販売されておりますが、全てのメーカーの多くの車種で対応されるよう働きかけを続けるとともに、バス、タクシー、トラック運送事業者については国土交通省の自動車事故対策費補助金により、導入時の負担軽減が図られております。兵庫県をはじめいくつかの自治体では既販乗用車への後付け安全運転支援装置に対して購入補助制度が作られましたが、既販乗用車への安全対策と負担軽減策についても検討が必要です。
 
 また、自動運転については、今年の通常国会にて、自動運転車の公道走行を可能にするための改正道路交通法と、自動運転の安全基準を定める改正道路運送車両法が成立し、自動運転技術の実用化に対応する環境整備が行われました。
 「令和2年を目途でのレベル3(条件付運転自動化)以上の高度な自動運転の実用化」など野心的な目標を掲げ、政府を挙げて自動運転の実現に向けて力を尽くしておりますが、万が一のときの責任体制や保険制度、国際的な安全基準づくり、円滑な合流のためのセンサー設置などインフラ面での支援等、これから詰めなければいけないもの、やらなければいけないことが残っております。技術の進展に制度等も合わせられるよう、スピード感をもって取り組んでいかなければなりません。
 
 もうこれ以上交通事故での悲しい被害者は出させない。交通事故を少しでもゼロに近づける。そのためにまずやるべきこと、そして時間がかかるかもしれないが進めていくべきことで主なものを書きました。今回、新たに参議院自民党の国会対策委員長に就任いたしました。国土交通副大臣の経験や議員連盟等も活かしながら、交通事故を撲滅するために引き続き力を尽くしたいと思います。

自動運転レベル分け
 (出典)国土交通省資料より