第204回通常国会を終えて

1月18日に召集された第204回通常国会は、150日間の会期を終え、6月16日に閉会いたしました。今国会も、新型コロナウイルス感染症への対応、対策に奔走した国会となりました。
今国会は冒頭から令和2年度第3次補正予算の審議を行い、1月28日には成立。19兆1761億円を計上し、感染症の拡大防止・ポストコロナ・国土強靱化を三本柱に、令和3年度当初予算とともに「15ヶ月予算」として切れ目無く感染症対策等を行うための予算です。続いて2月3日には、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立しましたが、これにより兵庫県でも4月に適用された「まん延防止等重点措置」の実施等ができるようになりました。3月26日には令和3年度当初予算が成立。感染症対策とともに、2050年カーボンニュートラルの実現や官民のデジタル化など先を見据えた政策も盛り込んだ、過去最大の106兆6097億円を計上した予算となりました。これらの予算、法律を使い、感染症対策、そしてコロナ禍に沈む経済を支えていかなければなりません。
河野太郎大臣も今国会、ワクチン接種の進め方等について5回ほど国対委員長室等にいらっしゃいました。今は何より、ワクチン接種を早期に進めなければなりません。6月14日現在で接種数は医療従事者等で932万2,862 回、高齢者等で1571万5674回。医療従事者等は多くの方が2回目の接種を終えており、高齢者等の1回目接種率も我が国総人口の1割を超えました。ワクチン接種は、医療従事者は都道府県、高齢者等は市町村の役割です。ここまで進んできましたのも自治体、接種業務に従事されている医療関係者等、更には大規模接種会場で従事される自衛隊等の皆様のお陰であり、関係各位のご労苦に改めて感謝を申し上げます。
7月末までにほとんどの自治体で、高齢者のワクチン接種を終える。その目標で自治体にも取り組んでいただいており、国としてもそのための支援を行っているところです。兵庫県内の市町も全て、7月末までに終えると発表されましたが、私のところに「1回目の接種が8月23日からしか予約できなかった」という声が寄せられました。
調べてみたところ、各自治体は高齢者の7割から8割程度が接種を希望すると想定して、その想定人数が7月末までに接種を終えられるよう準備をしておりました。ところが、実際は9割以上の高齢者が希望するなどしたため7月末までには入りきらず、8月に接種となる方が出てしまったようです。このようなことは他の自治体でも起きているとのことでしたが、自治体も7月中になるべく多くの方が接種できるよう努力されているとのことでした。厚生労働省等とも相談し、国として自治体の支援を改めて行うことで、8月以降となっていた方も順次前倒しで接種できるようになりつつあると伺っております。私がお聞きした方も、地元自治体のご努力もあり、7月に前倒しになったとのことです。
今国会、政府からは64法案が提出(新規63、継続1)されましたが、62本を成立させることができました。衆議院から参議院に送られてきた法案、参議院で先に審議した法案は全て成立いたしました。予算も、補正予算を成立させた上で、年度末までに当初予算を成立させることができました。予算の年度内成立、政府提出法案の会期内成立は、与党の国会対策委員長として最も重要な責務であり、国対のメンバーはじめ関係各位のご協力に感謝申し上げます。中でも瀬戸内海環境保全特別措置法は、これまで議員立法として提出されてきた法律です。私も瀬戸内海再生議員連盟の事務局長として取り組んできており、平成27年の改正の際には、発議者として環境委員会で趣旨説明を行い、質疑に対して答弁も行いました。その改正の後も議員連盟で議論を続けてきた結果、前回改正の際の附則で政府に対して求めた、プランクトンの栄養となる窒素、リンなどを含む栄養塩類の管理の在り方の検討についてしっかりと対処し、瀬戸内海の水質や漁業に政府がより責任を持つためにも政府提出法案が良いという結論に至りました。議員連盟の議論には小泉進次郎環境大臣にも参加していただきました。今回の改正により、栄養塩類を海域ごとに適切に管理しながら、瀬戸内海において水質と漁業の両立が図れるよう取り組んでいくことを期待しております。
また、22本の議員立法も成立いたしましたが、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる国民投票法改正案は平成30年に提出された法案でした。憲法を改正するかどうか国民投票を行う際に、駅やショッピングセンターでも投票できるようにするなど国民の利便性の向上を図るものであり、内容的に意見の分かれるものではありませんでしたが、成立までに3年かかってしまいました。長い年月がかかってしまったと言わざるを得ません。しかし、多くの野党にも賛同を頂きながら、私が国対委員長の間に成立させることができたことは、憲法改正に向けての大きな一歩となったと思います。
国会終盤、6月11日には、2つの決議が全会一致で可決されました。「ミャンマーにおける軍事クーデターを非難し、民主的な政治体制の早期回復を求める決議」は、国際社会とも連携し、あらゆる外交資源を駆使して、被害を受けた少数民族や避難民に対する緊急支援の提供やミャンマー国軍に対する武器輸出禁止に向けて取り組むこと等を求めたものです。ミャンマーからは昨年6月時点で1万4,000人の方が技能実習生として来日されています。国別の割合は3.5%です。我が国とも繋がりも深い国であり、ミャンマー国民のためにも、我が国経済のためにも、ミャンマーに民主的な政治体制を取り戻さなければなりません。
また、「世界保健機関(WHO)の台湾への対応に関する決議」は、現在、感染症対策で数多くの成果を上げている台湾が、WHO(世界保健機関)の年次総会から排除されていることはおかしいと、立法府としての姿勢を示すものです。この決議は、今国会、参議院だけで実現いたしました。台湾は、平成23年東日本大震災の際の200億円もの義援金や昨年4月のマスク不足の際の医療用マスク200万枚の提供を出すまでもなく、我が国にとって最も身近で、困ったときに頼りになる友好国です。6月14日にはこの決議の御礼に、台北経済文化代表処の謝長延大使、蔡明耀公使が国対委員長室にいらっしゃいましたが、この決議を契機に、さらに台湾との関係が強化されますよう期待しております。
国会が閉会し、兵庫県では間もなく県知事選挙が始まります。自民党は「さいとう元彦」さんを推薦することに決めました。さいとう元彦さんは兵庫県神戸市須磨区出身で現在43歳、若いだけでなく、新潟県佐渡市や福島県飯舘村、宮城県庁、大阪府庁と数々の地方自治の現場での経験も積んできた方です。是非ともさいとう元彦さんがどのような人物でどのような政策を掲げているか知っていただきたく、お願い申し上げます。
長雨が続く季節となりました。くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げますとともに、引き続きご指導賜りますようお願い申し上げます。
令和3年6月16日
参議院自由民主党国会対策委員長
参議院議員 末松 信介

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