参議院選挙に自由民主党が破れて思うこと

 逆境をバネに、次期衆院選挙、そして私の3年後の参議院選挙を目指して頑張ります。ピンチはチャンスであります。この敗北を大きな力に変えてゆかなければなりません。
 2年前の小泉郵政解散による総選挙圧勝、そして2年後の参議院選挙大敗北。自民党は天国と地獄の両方をこの短い期間に自らの目で見、そして世間の風というものを経験致しました。
 この天国と地獄から学ばずして自民党の明日はあまり期待できないと痛感します。
 結果、分析、反省、そして計画、実行、検証、さらに前進、こうした流れをしっかりと作ってゆかなければなりません。
 この度、兵庫県選挙区から3選目を目指し、立候補致しました鴻池よしただ候補の選挙対策事務局長を務めさせて頂きました。おかげさまで80万票を大きく超える得票をし、当選させて頂きました。県内の有権者の皆様に感謝の思いで一杯です。兵庫県は定数2の選挙区でありますから、結果的に民主党と議席を分け合うことになりました。逆風の中、鴻池候補も懸命の戦いをし、憲法問題や教育再生、公務員制度改革など、我々が思うところをしっかり主張して頂き、力強い戦いぶりだったと私自身感じております。
 しかし忘れてはならないことは、もしこの選挙区がいわゆる「1人区」であったならば破れていたという事実であります。私も、3年後改選の時を迎えますが、常に「1人区」であっても勝てるような「政策形成」「体制づくり」をじっくりと進めてゆきたいと願っております。「常在戦場」、そして2人区という甘えは捨てた日常活動を進めていかなければならないと肝に命じております。
 選挙期間中、1人区で激しく戦う同僚議員から電話をもらいました。「1人区と2人区の激戦率の格差是正をして欲しいよ。」私の選挙区である兵庫県は、かつて共産党にも敗れ、自民党は参議院における議席を失ったことがあります。心してかからないと戦いを甘くみると負けてしまいます。だから、常に緊張した選挙をしておりますが、このような逆風の中にあっては、1人区の候補者の方々の気持ちは痛いほど同じ戦うものとして分かります。
自民党はなぜ負けたのか?
自民党は参議院選挙に大敗しました。翌日の新聞には「歴史的大敗」という見出しが躍っておりました。マスコミの方々にとりましては、すでに世論調査や各種リサーチにより、この結果は予想通りであったと思います。今回、自民党が破れた原因としていくつか挙げられます。
1.年金問題、閣僚の相次ぐ問題発言、事務所費など政治とお金の問題、農林水産大臣の歯切れの悪さ。確かに、これほどまで足を引っ張られると勝てる選挙も勝てません。負けるにしましても、負け方を抑えることができません。
 選挙投票日をめがけて、自民党にとって悪い情勢が頂点となって続いたわけです。どんな苦しい選挙であっても、最悪の時というのは、いずれ脱して、悪いなりに戦い自体は進められます。
 自民党が劣勢であると各新聞社が伝え、本来の自民党支持者がいくらなんでもそこまで自民党を負けさせるわけにはいかない、そういう「揺り戻し」があると多くの自民党議員は期待していたはずです。それがまったくなかったわけであります。
 これほどまで、反政府、反自民の勢いが強かったということがうかがわれます。
2.年金問題での対応策が大いに評価されてしかるべきなのに、十分な、評価がなされなかった。
 私は、恥ずかしながら、年金の未照合が何件あるか、どういう状況にあるか、ということについては、参議院議員に就任しましてからも詳しい事実関係がわかっておりませんでした。
 不明を率直にお詫び申し上げます。しかしながら、この問題ついてはその内容、対応のスピード、私は正直、国民の皆様は安倍総理をもっともっと評価してあげればよかったのではないかと思います。ただし、照合していくうえで、住所不明など、百%完全に解明して統合できるか、といえば、完全に百%ということは難しいことだと思います。でも、安倍総理は、最後のひとりまで、最後の1件まで、きちっと対応をされると確信しております。「消えた年金」という言葉がずっと使われておりました。最後まで、5,000万件を5,000万人と言い続けた反自民の候補者の方もおられます。消えたという表現は決して正しい表現ではなく、「未照合」「記録ミス」というのが正確な表現です。
 選挙に勝つために、もっとも分かりやすくインパクトのある表現を意図的に探し、使ったのだと思います。
 そもそも、こうした問題が、「起こった原因」「そもそもの責任論」を考えると、自民党の候補者や、われわれも、憤りは収まらないわけであります。
 社会保険庁の平気で惰眠をむさぼり続けえた性質、国民から預かった保険料に対する意識などこうした問題は、組合と無関係ではありません。その覚え書からも明らかです。
 しかし、いかなる事情があろうと、行政の最終責任者、最高責任者は、政府自由民主党、安倍総理であります。そこには、一切の弁解の余地はありません。ただ国民に謝罪するのみです。社会保険庁改革法、年金時効撤廃法や関係施策をしっかりと推し進めて行かなければなりません。
 一方的な総理攻撃や、世論の自民党攻撃の風は本当に厳しいものがありました。
 今後の大きな反省と大きな教訓にしなければならないと肝に銘じております。 
3.2年前の、「小泉劇場」によりわが党は衆議院において飛躍的に議席を伸ばしました。
 考えられないような、鮮やかな「郵政民営化解散」総選挙でありました。とにもかくにも、若い20歳台から40歳までの有権者を中心として、通常投票率における投票者数と比較しますと、830万人も多く投票に行かれたわけです。そして、その多くは自民党候補者に1票を投じました。小泉総理から安倍総理に代わって、特にこの1年間に、教育基本法改正、防衛庁の防衛省への昇格、憲法の国民投票法案、国家公務員制度改革、など重要法案が次々と審議され可決されました。いろいろ意見があっても、野党の方々のおっしゃる十分な審議と自民党のいう十分な審議と、その定義が一致するはずがありません。どこかで、折り合いをつけなければなりません。どこかで採決しなければならないのが、議会制民主主義であると私は思います。しかしながら多くの国民の皆さんは、その衆議院における議席数を背景に、力で、しかも拙速に、こうした法案を通していったと感じられたと思います。野党中心の世論が形成されたことが敗因のひとつです。
 日本の政治は「リーダーシップがない」「総理の意思決定が弱い」「スピード感がない」と長く批判されておりました。小泉内閣、安倍内閣の時代になって、これらの批判に次々と応えようとすると、今度は「拙速」「慎重さ」「さらなる検討」こうした言葉がどんどん出てくるようになりました。
 日本人の国民性というのは微妙なバランス感覚を大切にするということがよく分かった選挙であります。いずれにしても、「透明性」「公平性」「公正性」「合理性」を念頭に説明責任を最も重要視しなければならないと考えております。

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