令和3年 年頭にあたり

令和3年の元旦を迎えました。
昨年は新型コロナ感染症対策に明け暮れ、新しい生活習慣での年明け、皆様も例年とは違った、静かな新年をお迎えになったのではないでしょうか。そのような中、皆様方から頂いたひとかたならぬご厚情に深く感謝申し上げます。
 さて、一昨年12月に中国武漢から始まった新型コロナウイルス感染症は、短期間で全世界に拡がり、我が国にも深刻な影響を及ぼしました。 新年を迎えた今も、厳しい状況が続いております。この年末年始も昼夜をわかたず、エッセンシャルワーカーとして、社会を支える医療をはじめ、介護、物流、小売、公共交通などで、感染リスクと闘いながら働く皆様方に改めて、心からの敬意と感謝を申し上げます。今月から始まる第204回国会でも感染症対策を最重要課題として取り組んでいかねばなりません。
 一方で、我が国は自然災害の多い国です。特に近年、気候変動のもたらす気象災害は深刻であり、兵庫県内も平成30年7月豪雨など度重なる被害を受けております。南海トラフ巨大地震は30年以内に7、80%の確率で、マグニチュード8以上で発生するとも言われております。自然災害は、いつ発生するかわかりません。感染症の終息を待ってはくれません。
 さらに、このような問題を抱えながらも、私たちは日常を取り戻し、日々の生活を送れるようにしていかなければなりません。コロナ後を見据え、経済活動も並行して進める必要があります。美しく豊かな里海を創造し安定した漁業を営むための瀬戸内法改正や、大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海、や北近畿豊岡、山陰近畿自動車道などの幹線道路網整備、将来の我が国の競争力を確保するためのグリーン化なども併せて進めていくべきです。
 我が国は現在、感染拡大防止と経済成長、そして防災減災を同時に行うという、これまで政治がかつて経験したことのないことを行おうとしております。いずれも人の命にかかわる問題です。一つも疎かにすることはできません。昨年末、「感染拡大の防止」と「コロナ後を見据えた経済構造の転換」、「国土強靱化」を3本柱に、事業規模73兆6000億円の経済対策が決定されました。その際、財務省の担当者とも話しましたが、人や企業が倒れたらお終いだ。財務省としては苦渋の決断だが、今は財政健全化が先送られてでも乗り越えなければならない。そういう主旨の話を力をこめて話されていました。今年は、まさに正念場の一年となります。
 昨年12月、私も前期高齢者となりました。介護や医療など、当事者としても考えていかなければならないと思っております。一方で、スマートフォンやタブレットの操作がわからず、同じことを何度も子どもや秘書に尋ねる自分がいます。菅総理が予算委員会で話された「全集中の呼吸」、最初、何をおっしゃっているかわかりませんでした。菅総理はデジタル庁の設置など官民のデジタル化の推進をされておりますが、それにはついていけない世代が出てきます。利便性の向上や効率化に資するデジタル化は進めていくべきですが、誰もが取り残されないよう配慮が必要です。
 私は阪神淡路大震災を地元で経験し、自然の脅威、恐怖感を抱きました。そして、東日本大震災では脱力感、無力さを痛感しました。ただ自然災害においては、一年目に瓦礫を片付け、仮設住宅を作り、2年目には経済活動の再開とそのためのインフラ整備、4年目、5年目になるとそれまで気が付かなかったすき間の問題やなかなか立ち直れない生活困窮者への対応など、被害が目に見え、解決する課題を皆で共有することが可能ですし、被災地の外側から支援することが可能です。しかし感染症は知らぬ間に世界中に広がり、目に見えない得体の知れない恐怖をもたらしています。かつて14世紀にペストの流行で欧州の3分の1以上の人口が激減した歴史がありながら、人類は今なお感染症に対して脆弱なままです。今後急速な気候変動、気温上昇など環境の変化を受け、さらに多様に変容する可能性を秘めた未知なる細菌やウィルス感染への恐れは誰しも頭の片隅にあるはずです。一方で「自分だけは大丈夫だ!」、「そこまで気にしなくてもいい」という無神経さ、無関心さもあり、二局化された現実も存在しています。
 まずは早急に、誰もが安心して受けられる治療法確立、治療薬・予防ワクチンの開発を急がなければなりません。なんとしても医療現場を支えること。公衆衛生の在り方を考え、専門知識をもつ研究者を育てるなど、必要な課題を洗い出し、国と地方、官民一体で力を尽くすこと。令和3年はこの大きなピンチを将来へのチャンスに変えなければならないのです。
 本年の干支は辛丑ですが、「辛」は実をつけ、新たに生まれ変わる段階のことを言い、「丑」は種から芽が出ようとする状態のことを言うのだそうです。今、我が国は新型コロナウイルス感染症で沈んでおりますが、そのような中でも将来に向けて種を蒔き、新たな命を芽吹かせる、そのような一年とさせられればと思っております。
参議院自由民主党国会対策委員長として、各会派と丁寧に調整をすすめ、待ったなしの第3次補正や本予算、新型コロナ特措法改正案などの成立を目指して力を尽くしてまいります。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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