カエルツボカビ症と鳥インフルエンザの発症に際して

 カエルへの強力な感染力を持つ、カエルツボカビ症の東京都内での発症が国内で初めて昨年のクリスマスに報告されました。その後、埼玉県内でも発症が確認されました。 
 この感染症は中米やオーストラリアで猛威をふるい、カエルの大量死を引き起こしております。これまではアジア以外の地域での感染が報告されておりましたが、今回の東京での発症がアジアで最初の発症になりました。カエルツボカビ症の感染経路は、水中でカエルなどが泳ぐ事による菌の分散であり、両生類が一旦感染すると90%の致死率といわれています。
 現在地球上の両生類は、1980年以降5,743種のうち120種が絶滅し、絶滅危惧種も1,856種と全体の3分の2に及んでおります。カエルなどの減少は、昆虫類の増加を促すなど、生態系の変化も生じさせ、田んぼなどからカエルがいなくなることにより、害虫被害の発生なども予測されています。
 日本においては、今現在そのような危機に直面しているという事はありませんが、これ以上の発生を食い止めるためにも、感染地域で両生類をペットとして飼われている方は、日々ペットの状態をよく観察し、具合が悪くみえる場合はすぐに獣医の診察を受けて頂くこと、また、菌は水に浮遊しますから、その菌に汚染された水が汚水として流される事により、拡大感染を引き起こす可能性がありますので、感染地域では新たにペットを飼わないようにして頂きたいと思います。
 海外からの感染の中で、現在もっとも問題になっているのが鳥インフルエンザであります。日本国内において2004年1月に山口県で発生した鳥インフルエンザは、今年に入っても宮崎県で3ヶ所、岡山県で1ヶ所発生しており(2月6日現在)、未だその発生を完全に押さえ込むことができておりません。また現在においても感染ルートは解明されておりませんが、渡り鳥説がもっとも有力であり、日本単独での解決は大変難しい問題です。前出のカエルツボカビ症と異なる点は、人への感染が発生していることであります。(現時点での2003年以降全世界での、鳥インフルエンザの感染患者は270人、死亡者数165人)
 もっとも恐れられていることは、人に感染した場合、鳥の大量死を引き起こしていることからも明らかなように、より感染力の高いウィルスに変異する可能性がある点です。今回の宮崎や岡山の件なども、当事者の迅速な対応で、同地域内での極端な感染の発生は抑え込まれておりますが、万が一の世界的流行に備え、坑ウィルス薬タミフルを今年度内に国地方合わせて1,275万人分を確保予定であり、来年度末までに2,500万人分を確保するための予算を本年度の補正予算に計上しております。 
 ワクチンに関しても国で予算を付け、現在臨床試験中であります。また昨年9月に関係省庁対策会議による机上訓練を、本年2月5日には20省庁と徳島県で総合訓練を実施しました。また4月にはWHOによる新型インフルエンザ流行時に国際的に迅速に対処するための演習にASEAN諸国とともに、日本政府も参加します。
 このように政府は各国や地方と力を合わせて、鳥インフルエンザに対して万全の体制を整備し、緊急時に対応できる体制を整えています。養鶏の仕事に携っておられる方はもちろん、一般の方で鳥を飼われている方も、野鳥からの感染の可能性が最も高いと考えられていますので、ペットの鳥と野鳥との接触が無いように、十分な注意を払って頂きたいと思います。
 皆様にしっかりとご理解頂きたい事は、鳥インフルエンザに罹患した鳥の卵及び肉から、鳥インフルエンザウィルスが人間に感染した報告は未だ一件も無いということであります。現在までの感染者は鳥と密接に接触し、呼吸器を通じて感染しておりますので、昨年末のノロウィルスの流行の際におけるカキの風評被害のようなことが起こらないよう、感染が発生した県内で生産された鶏肉や卵が危険であるという先入観は払拭していただければと思います。
 カエルツボカビ症にしましても、鳥インフルエンザにしましても、国境を越えて侵入してきている事はほぼ間違いなく、人や物の動きが自由になるという事は、今回のような様々なリスクを背負うことも招きます。経済・情報のグローバル化に基づく国境のボーダレス化により、一国では解決できない問題が多発する日々を我々は生きています。我が国の戦後の経済発展は、自由貿易の推進によりもたらされたことから明らかなように、今後の日本経済にとりましても、他国との共存をはかり続けてゆくことが重要なのは言うまでもありません。
 鳥インフルエンザの問題はもちろんの事、新たに発生する様々な問題を、近隣諸国と連携をとりつつ、各国、省庁、地方の垣根を取り払い柔軟に対応し、すべての人々が安心して暮らせる社会を構築できるよう、与党の政治家として政府と一体となって今後とも努力して参ります。

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