暖冬と地球温暖化

 暖冬の侯、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。 
 という、表現を使ってしまいそうになるぐらい、今年の冬は暖かいです。一月の平均気温が神戸で7.5度と平年より1.8度も高く、1月31日には平年よりも22日早くウメが開花しました。もちろん1月の気温の最高記録です。 
 この暖冬の原因は、北極振動という北極圏において寒気の蓄積と放出を繰り返す自然現象が、今年は一月下旬まで蓄積のみで放出をしないという異常な状態が続き、また有名なエルニーニョ現象(数年に一度、赤道付近の東太平洋でおよそ1,000kmの広がりをもって、海面温度が異常に高くなり地球規模で異常気象を引き起こす現象のこと)も発生し、やっと放出された北極圏の寒気がエルニーニョ現象による暖気で南下できない事が原因となっています。そしてこの現象は日本だけに留まらず、北半球全体がその影響で暖冬になっており、特に北米やヨーロッパで、モスクワ+5.9度、ニューヨーク+3.5度で1月6日には22.2度を記録し、セントラルパークで桜も咲いたそうです。また東南アジアではこの時期には少ない集中豪雨が多数発生し、ジャカルタでは大洪水により多くの方が亡くなっています。またカリフォルニアでは寒波によりかんきつ類に500億円以上の被害が発生しています。
  このような暖冬を経験すると、私達は短絡的に地球温暖化が起こっているから、暖かくなっているのだと考えてしまいますが、昨年寒さが厳しかった事やカリフォルニアの件など、地球温暖化は今回のような異常気象をもたらし、災害を発生させるところに、当面の最大の問題が存在していると考えられます。 
 日本時間の2月2日に採択された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第4次報告ー第1作業部会の報告書によると、過去100年間で地上の平均気温は0.74度上昇し、今のままの状態を続けると、21世紀末には現在と比較し、気温が2.4~6.4度上昇し、その結果2億人が気象の悪化によって移動を余儀なくされる「気象難民」化すると予測しています。この気温の上昇は、人の経済活動を通じて排出される温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が極めて高いということを報告書は指摘しています。 
 日本の2004年のCO2排出量は1990年比8.0%の増加です。これは2004年のデータですので、石油高騰により原油の消費量は近年下がって、少々CO2排出量も減少していると推測できますが、今の段階で確実にいえる事が、2008年から2012年までに、京都議定書での約束通り、2004年比14%のCO2を削減しなくてはいけないという現実です。 
 また今までこの条約を批准せず、地球温暖化対策に消極的だったアメリカ政府も、今年の一般教書演説で今後10年間でガソリン消費20%削減を目標としました。しかし、英紙ガーディアンが伝えるところによると、アメリカ政府はIPCC第4次報告ー第2部会報告書に、宇宙軌道に巨大な鏡を打ち上げ、地球に降り注ぐ太陽光を1%反射させることで、産業革命以来出してきた温室効果ガスの効果を相殺するという計画を盛り込むよう働きかけています。アメリカらしいと言えばアメリカらしいですが、逆に太陽光が遮られる事による、生態系への影響が懸念されます。
 また今後もっとも排出量を増やすと予想される中国も、エネルギー消費の20%削減などの目標を明確に示し、小型火力発電5,000万キロワット相当の稼働停止などの措置を講じました。2月1日にパリでは、エッフェル塔を5分間消灯し、地球の温暖化阻止をアピールしました。それと同時にフランス国内の都市の施設や、ブラジル、ドイツ、スペイン、オランダなどの一部の都市で5分間消灯が実施されました。試算では1,000万のパリ市民が、5分間電気の消費を中止する事で、フランスの電気消費量の1.5%が節約できる、ということです。現実的には難しいですが、阪神間などで5分間一斉消灯すれば、県民の皆様の、温暖化防止の気持ちも高まると思いますし、六甲山から消灯した町並みが、一斉に点灯される瞬間を見れば、観光にも良い影響を与えるのでは思います。
 このように、この問題はすべての国が協力し、また世界に住む一人一人の地球温暖化防止への強い意志と努力の積み重ねのみが解決する問題です。私自身も地球に住む一人の人間として、この地球を皆様とともに守っていけるよう、改めて努力しようと思うしだいです。今後とも温暖化については随時、この場所に記していきたいと考えております。
 *エルニーニョ現象とは 赤道付近の東太平洋(ペルーやエクアドル沖合)でおよそ1,000kmの広がりをもって、海面温度が異常に高くなり地球規模で異常気象を引き起こす現象のこと。

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