民主党政権の「社会保障・税一体改革」

民主党政権の進める「社会保障・税一体改革」の問題点について
  (成案・素案・大綱と、変遷はあっても5%は変わらず、全体像の提示もなし)
 平成24年度予算が、特例公債法などの関連法案は置いたままにして一応成立し、現政権はいよいよ今国会の最も重要なテーマである社会保障・税一体改革の議論を始めようとしています。そのことに関して私が問題と思う点を述べたいと思います。
 そもそも、今回の消費税の5%アップの議論は、2010年6月に当時の菅首相が記者会見で唐突に話したことがきっかけで始まりました。菅首相によれば、5%という数字はかっての自民党案を参考にしたとのことでした。
 その後、政府は5%の税率アップは固定したままに、アップ分を特定財源として社会保障の充実に使うと発表し、社会保障・税の一体改革が議論されるようになりました。
 昨年6月に、政府・与党社会保障改革検討本部の決定として「社会保障・税一体改革成案」が発表され、その中で社会保障改革の具体策が示され、併せてその財政的裏付けとして5%の使い道も示されました。またその冒頭では「本成案に基づきさらに検討を進め、その具体化を図る」としたうえ、「本成案をもって野党各党に社会保障改革のための協議を提案し、参加を呼びかける」と、強い決意が述べられました。その後、「素案」が、そして今年2月には閣議決定を経たうえで「社会保障・税一体改革大綱」が発表されました。ところが、大綱の内容を見ると、「受診時定額負担」や「年金の支給開始年齢引き上げ」など重要政策と思われるテーマが消えたり先送りされるなど、全体として成案の内容とかなり変わっています。5%の具体的根拠も消えてしまいました。
 私が大きな問題と考える点の一つはそのことです。少なくとも、成案段階では、政府は新しい社会保障の内容については強い確信を持っていたはずです。それが、批判が強そうだとみると引っ込めてしまう。内容もコロコロ変わっていく、これではこれまでの民主党のやり方そのままです。民主党が声高に叫んだ後期高齢者医療制度の廃止にしても、大綱に載るだけで検討の気配はありません。いくら大綱をもってこれが社会保障の改革案だと言われても、信じられないというのが私の気持ちです。
 もう一つの問題点は税率のことです。これだけ社会保障改革の内容が変わっても、税のアップ率は菅首相が2年前に唐突にしゃべった5%のままです。「受益なくして負担なし」と言います。5%アップを変えないならその使い道の詳細について国民に説得力のある説明が必要と思いますが、まだ政府からその説明はありません。税率の将来見通しもうやむやのままです。中身の議論は後回し、とにかく消費税アップの実績を作る。まさに、財務省の狙う方向に動いているとしか言いようがありません。
 以上、「社会保障・税の一体改革」について、私の思うことを述べさせていただきました。これからの国会での消費税論議はこういう問題を中心に展開されていくことが予想されます。増大する社会保障費のために、新たな財源が必要なことは分かりますが、納得のできない点については、野党として厳しい姿勢で臨みたいと考えています。これからも、国民、兵庫県民の皆様の厳しいご指導と、あたたかい励ましを期待しております。よろしくお願い申しあげます。

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