2020.10.30 提言 雇用調整助成金の更なる延長を 8月、我が国の完全失業率は3.0%と、2017年5月以来の3%台となり、9月も同じ数値となりました。昨年12月が2.2%、昨年平均で2.4%でしたので、アメリカの14.7%(4月)等と比較すると、多くの企業や従業員の皆様のご努力もあり何とか持ち堪えているともいえますが、6月2.8%、7月2.9%と徐々に悪化しつつあることは確かです。雇用調整助成金をはじめとする対策を集中的に実施していかなければ、諸外国のような更に厳しい数字になってしまいかねない。そのような強い危機感を持ちながら、これまで活動してまいりました。 新型コロナウイルス感染症は我が国に深刻な影響を及ぼしており、政府与党としても、これまで2回の補正予算をはじめ様々な対策を行ってまいりました。特に、雇用調整助成金については、私自身も当初から様々な場で、手続きの簡素化、そして助成率や助成上限額の拡充等を強く訴えてきました。 現在、助成率は特例で、解雇を伴わなければ最大、中小企業で100%、大企業でも3/4、日額1万5,000円まで助成されることになりました。期限も9月末までであったのが、12月末までに延長されております。手続きも、小規模事業者については実際に支払った額だけで算定できるようにするなど、大幅に簡素化いたしました。 今はまだ以前と同様の経営を行えない企業も多く、雇用調整助成金の特例措置を打ち切れる状況にはありません。12月末まで延長したことは当然の措置です。1月以降をどうするか、段階的に戻すことも含めて検討されておりますが、経済環境や感染状況等を見ますと、更なる延長が必要です。 現在、特に若い世代の雇用環境が痛んでおります。完全失業率は男性の15~24歳が5.1%、25~34歳が4.4%、女性の15~24歳が4.2%、25~34歳が4.3%、この若い年代の非正規雇用者は前年比で50万人減少しております。非正規雇用の方々が新型コロナウイルス感染症の影響で職を失う事例が増えている、そのような実態が数字からも見て取れます。雇用調整助成金の特例措置は、非正規雇用の方々も対象としております。今、特例措置を打ち切ることは、これらの数字を更に悪化させることに繋がります。 経済の回復期には、人材が過剰となっている業種から、人手が不足する物流や介護などの業種への移動を促す方策も必要となってくるでしょう。しかし今は、このコロナ禍においても雇用を必死に守っている企業、必死に働く皆さんを支えることがまず何よりも重要です。資源の限られた我が国は、人材を大切に育成することで経済発展を遂げてきました。雇用をいかに守り、経済の再興に繋げるか、これからも取り組んで参りたいと思います。 感染症対策と経済の両立 前の記事 令和3年 年頭にあたり 次の記事