平成30年7月豪雨による災害について考えること

 7月始めに西日本を中心として襲った豪雨のため、わが国はかってない大きな被害を受けました。221名の方が亡くなり、10名の方がまだ行方不明等とされています。さらに家屋の被害は4万8千戸超とされています(8月14日内閣府資料)。今もなお、行方不明者の捜索、流出家屋の後片づけが、被災者自身や、自治体、そして多くのボランティアによって続けられています。政府も7月豪雨非常災害対策本部を設置、被災者の救済とインフラの復旧に全力をあげています。私たちの住む兵庫県でも、2人が亡くなられました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 さて今回の豪雨災害ほど、ソフト対策の重要性が認識されたことはありません。これまで私たちの国土は繰り返し洪水被害を受け、そのたびに復旧工事を行い、さらに通常の河川改修を重ねることで、国土も強度を増してきました。と少なくとも信じてきました。しかし、今回の豪雨は、それら国土強化の前提条件をはるかに超える規模のものであり、河川の氾濫、それと同時に発生した土砂災害は我々に絶望感すら抱かせるものでした。もはやこれまでのハードを中心にした災害対策では、今後襲ってくるであろう大災害には対応しきれないということがはっきりしてきました。原因は地球温暖化に起因する地球規模の気象条件の変化にあるということは推測できます。気象庁の話ではわが国の平均気温がこの100年間で1.1度上がったとのデータがあります。東京などの都市部では「ヒートアイランド現象」でもっと高い上昇のはずです。またその他に、国土全般にわたる都市化の進行、それと相反する形の過疎化による人の管理しない土地の増大、といった国土の形の変化も被害を大きくした原因であると考えています。このように大きく変貌しつつある国土の安全を守るためには、「ハード対策とソフト対策が一体」となった、従来にはない新たな発想のもとでの、総合的な災害対策が必要になります。
 すなわち、ソフト対策の一例としては、住民同士による避難の呼びかけ、今度の災害では、これで救われた命がたくさんあったと聞いています。また浸水時の近所同士の助け合い、これも多くの方を救いました。さらにこういう身近なソフト対策とは別に、行政レベルの取組、すなわちダムの放流対策、医療・救急対策、地方自治体事務へのサポート体制の整備なども、ソフト対策にあげられるでしょう。さらには、最近は国・自治体が整備を進めるハザードマップに十分な関心を持つこと、メディアが流す気象情報に注意を傾けることなども、住民個々のソフト対策と言えるでしょう。もっと言えば、地方自治体の地域防災計画を策定するに当たって、「地域の住民が最初の段階から自ら作る形で参加する。」これによって地域防災に対する住民の参加意識を高めるといったことも重要なことではないでしょうか。また被災後ということになりますが、ボランティアの受け入れシステムの整備もソフト対策の一環と言えます。
 私なりに考えられるソフト対策の例をあげてみました。ただ当然のことですが、安全安心の国土づくりの基本がハード対策なのは言うまでもありません。私たちの兵庫県では、阪神淡路大震災を教訓としてたゆまず県土の安全の強化に努めてきました。今回の豪雨災害でも、この努力が被災度の低減に寄与したと考えています。安全安心の確保は人々の幸せの基本です。私たちは阪神淡路大震災から「自然への畏怖」「危機管理のあり方」「地域のふれあい助け合い」という教訓を学びました。そして東日本大震災からも新たな視点で多大な教訓を得ました。しかし、もっと学び続けなければなりません。それが「災害に強い街づくり」の定義、根本のはずです。これについても、国、県など行政サイドのさらに強い取り組みを期待します。私も国政に携わる者として微力ですがともに働かせていただきます。
 以上、今度の豪雨災害に関して私の思うことを述べさせていただきました。猛暑はまだ続くようです。皆様お体に気をつけていただきますよう、祈っております。

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